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第1回日本化粧品技術者会 学術大会
毛髪に関する発表では、同一企業から最多 3 題を選出

タカラベルモント株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役会長兼 社長:吉川 秀隆)の化粧品研究開発部は、2023 年 12 月 5 日(火)~7 日(木)に開催された「第1回日本化粧品技術者会 学術大会」の毛髪に特化した研究内容において、当社としては最多の 3 題(口頭1題、ポスターセッション 2 題)の研究成果を発表しました。
また、本大会前身の「SCCJ 研究討論会」も含めた過去 10 年間(※)において、毛髪に関する研究内容が同一企業から同時に 3 題選出されたことはなく、当社が初となります。
※期間:第 70 回 2012 年 7 月~第 89 回 2022 年 12 月

【発表内容】
■ 蛍光染色による毛髪ダメージの可視化 ~髪用 UV 指標の必要性と確立を目指して~
萬成 哲也*,久下 宗一
■ 走査型電子顕微鏡を用いた繰り返し脱色処理における毛髪メラニン挙動の観察
尾澤 佑輔*,萬成 哲也,渕上 幾太郎,細川 博史
■ ビビリ毛の発生条件検討と実態解明
枝常 吾郎*,萬成 哲也,金子 聖,武鹿 直樹
*当日発表者

≪口頭発表≫
■蛍光染色による毛髪内部ダメージの可視化 ~髪用 UV 指標の必要性と確立を目指して~

【要点】
クセ毛や直毛における内部状態可視化の定番「コルテックス染色(FS-SR染色)」で毛髪内外のダメージを可視化。
さらに変化度を数値化できる手法により新しい価値を見出しました。特に今回は、UV ダメージ可視化における可能性について研究を行いました。

【コメント】
萬成 哲也(マンナリ テツヤ) 化粧品研究開発部 基礎研究センター

今回確立した評価手法により、毛髪ならではの UV の影響を、視覚的、数値的に評価できます。肌と違い、毛髪は炎症や日焼けは起こしませんが、一度発生したダメージを自ら回復することができません。
紫外線量が未だに頭打ちにならない昨今。「髪の UV ケアをしなければ」ではなく、ヘアデザインを楽しむのと共にケアができるようなアイテムを作れないか。髪ならではの UVケア方法について、今一度考え、髪の美と健康の両立ができる新しい常識の実現を目指し、これからも力を尽くしていきます。

≪ポスターセッション≫
■走査型電子顕微鏡を用いた繰り返し脱色処理における毛髪メラニン挙動の観察

【要点】
SEM と光学顕微鏡の併用により、異なる性質をもつメラニン(還元型/非還元型)の可視化に成功しました。

【コメント】
尾澤 佑輔(オザワ ユウスケ) 化粧品研究開発部 第二研究所

デザインカラーの流行に伴い、毛髪の脱色がより身近なものになっています。そのような社会の変化において、毛髪脱色時のメラニンの挙動を解明することで、現在よりも短時間あるいは少ない回数のブリーチでの髪の高明度化、ライトナーでブリーチ級の脱色などが実現できると考えています。これが可能となれば、今までケア成分や、ケア剤などで対症療法的にカバーしていたダメージを根本から削減し、髪への負担を軽減することができます。このような革新的な技術を培い、製品を生み出し、誰もがもっと気兼ねなくファッションを楽しめる世界を目指します。

■ビビリ毛の発生条件検討と実態解明
【要点】
スタイリストが恐れる「ビビリ毛」(過度なダメージによりチリチリになった毛)の実態に迫り、その構造的特徴を明らかにしました。

【コメント】
枝常 吾郎(エダツネ ゴロウ) 化粧品研究開発部 第三研究所

ヘアスタイルは自己表現のひとつ。その多様化を実現するのがパーマやカラーです。
しかし自分らしいヘアスタイルが叶う一方、施術を重ねることで「ビビリ毛」が生じる場合もあります。ビビリ毛は原因が明確ではないため、スタイリストは、パーマなどのメニューに対し、失敗を恐れ、本来叶えたいお客様のニーズに対応できないケースもあり、業界内では課題となっています。そんな中、ビビリ毛について追究することで、その予防や改善、さらなる理美容業界の発展を目指し、人々の人生をより豊かなものにしていきたいです。

※SCCJ(日本化粧品技術者会)について
1947 年、化粧品および関連の科学技術の進歩に貢献すると共に、会員相互の啓発と交流を図るための活動を行い、化粧品産業の発展に寄与することを目的として立ち上がった伝統ある学術団体。
今回開催された「第1回日本化粧品技術者会 学術大会」の前身「SCCJ 研究討論会」は、1976 年から実施されてきたが、2023 年からは、更なる技術者のレベルアップと技術のグローバルリーダーを目指す次世代の発表の場として本学術大会が新設され、今回行われたのが第1回目となる。また、グローバル化の一環として SCCJ は、国際化粧品技術者会連盟(IFSCC:参加 80 か国、約 16,000 名)へ 1962 年より正式加盟されている。
*日本化粧品技術者会ホームページより一部引用

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