万博を契機に世界へ発信
“共創”で生まれた「サステナビリティ×工芸」という
実験的な取り組みがスタート
万博開幕からおよそ1か月経った5月下旬、当社は、創業300年を誇る金沢の鋳物メーカー・金森合金と、全国で新聞を発行する読売新聞社との共同制作による工芸品「ORIZARA」を展示・販売しました。異なる業種の企業が集い、初めて一緒に作ったアルミ製の食器です。「サステナビリティ×工芸」をテーマに、使用済みのヘアカラー剤アルミチューブと新聞印刷時に使用するアルミ製の板を活用しています。
この取り組みは、大阪・関西万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」への共鳴から、人類共通の課題解決に向けて新たなアイデアを創造しようという想いのもとスタート。「未来社会の実験場」をコンセプトとする万博から、工芸が持つ力で持続可能な社会の実現を目指す、実験的な取り組みとなりました。

「使用済み素材を循環できないか」
取り組みのきっかけは、未来に向けた人々の想い
一般的に、飲料の缶などに使用されるアルミ素材は“リサイクルの優等生”と言われ、ほとんどがリサイクルされています。しかし一方で、今回の「ORIZARA」に用いたアルミ素材は、ヘアカラー剤の容器に残る薬剤の処理などに課題があり、多くの素材が循環することなく役目を終えていました。
素材を循環し、なんとか課題解決できないだろうか。そう考える中で出会ったのが金沢の鋳物メーカー・金森合金です。彼らが江戸時代から300年継承する「金属精錬技術」を用いて、高温の炉で溶解し精錬することで、素材をきれいに戻すことができると分かり、取り組みがスタートしました。デザインは当社が担当し、万博ブースのコンセプト「量子飛躍する美の世界」の原点である「折り紙」から着想を得て、「ORIZARA」を制作。伝統技術と現代の感性が交差し、“暮らしに寄り添う”シンプルなデザインのアイテムが完成しました。

ORIZARAの制作工程

素材
- ・使用済みカラーチューブ
- ・新聞刷版のアルミの資源など収集

鋳造
江戸時代から300年以上続く
「金属精錬技術」で鋳造

日本が誇る工芸品に
次の300年につながる工芸品として
再生、販売
完成した「ORIZARA」を万博会場にて初お披露目
期間中は人気パビリオン併設のショップにて販売
「ORIZARA」は、2025年5月27日(火)~6月1日(日)の間、大阪・関西万博内で開催されたイベント「饗宴!匠が演じる日本美の世界」にて披露。全国各地で伝統の“技”を継承する「匠」が集う舞台で、世界へ向けて発信しました。また、6月18日(水)、19日(木)に開催された「EXPO共鳴フェス─万博から描く未来社会の技術、デザイン─」では展示に加え、サステナブルなアイテムを使ったワークショップを開催。さらに、万博が閉幕するまでの期間、慶應義塾大学教授 宮田裕章氏が手掛けるシグネチャーパビリオン 「Better Co-Being」併設のショップにて実際に購入ができるなど、万博を契機とした好事例な取り組みとなりました。今後も3社で、万博のレガシーとして残していきたいと思います。



慶應義塾大学教授 宮田裕章氏が展開する
シグネチャーパビリオン「Better Co-Being」 に
併設するショップにて購入が可能です。
- 2025年10月13日(月・祝)まで
- ORIZARA
- 2種類(中皿・小皿)
- 中皿/税込み5,500円
小皿/税込み4,000円
Company Profile
<株式会社金森合金>
創業1714年、加賀藩主前田家に仕えた鋳物師がルーツの石川・金沢の鋳物会社。
金属精錬技術と伝統的砂型鋳造を継承し、ロケット部品素材を供給する工業分野から、生活のシーンを彩る工芸分野まで、様々なシーンで活用する製品を作るメーカーで、大阪・関西万博の未来社会ショーケース事業サプライヤー。

<読売新聞社>
読売新聞グループは、150年の歴史がある読売新聞を中心に、文化、スポーツ、レジャーなど様々な分野の有力会社を抱える「総合メディア集団」。大阪・関西万博では、「Better
Co-Being」シルバーパートナーとして参画するとともに、能や工芸などのイベント、公式ライセンス商品の企画制作販売などを行っている。
